引っ越しは人間にとっても人生の中で大きなイベントですが、飼い主と一緒に引っ越しをする猫にとってはどうでしょうか?
引っ越しの際に猫が感じるストレス、ベストな移動方法、引っ越し後の対策などについて詳しくご説明します!
Contents
猫は環境の変化に弱い生き物
もともと猫が環境の変化に弱い動物であることはよく言われています。
猫はもともと単独で生活する動物ですが、それぞれにテリトリーを持ち、その中で生活をする習性があります。猫同士の場合だと、他の猫がテリトリーに入ってくることは許されず、激しい喧嘩になることもあるようです。
たとえば家で飼っている猫の場合は、家にお客様が来たり、家族構成が変わったりするだけでも猫には大きなストレスがかかることになります。自分のテリトリーに見知らぬ何かが入ってくることは猫にとって大変な恐怖なのです。
それほど環境の変化に敏感な猫にとっては引っ越しはさらに大きなストレスとなります。これは猫が「慣れ親しんだテリトリーがなくなってしまった!」と感じるためです。
また、引っ越し作業中に多くの人が家に出入りしたり、大きな物音を立てたりすることもテリトリー内に他の何かが侵入していると感じて恐怖を感じ、猫は疲れ切ってしまいます。
また、転居先では新たな環境になじむことも大きな負担になり、体調を崩したり、時には脱走する猫もいます。
こういった猫の性質からも、引っ越しは猫にとって大変な苦労を伴うことがわかります。
それでは、どのようにすれば猫のストレスを最小限におさえ、新しい環境に順応していくことができるかを考えてみましょう。
引っ越しまでの準備
●転居先の物件の条件について再度確認
まずは基本的なことですが、転居先のペットの飼育についての確認です。
賃貸物件に引っ越しする場合、「ペットの飼育可」となっている場合でも、中には細かい条件が決められていることがあります。「ペット飼育可」が犬だけの場合や、猫は1匹までは可でも多頭飼いはNGの場合などです。特に頭数制限があることが多いようですので、契約前に確認しておきましょう。
また猫の飼育の条件を絞ってサイトなどで個人的に物件を探すのは大変困難です。不動産業者を通して探した方がよいでしょう。
それでは次に、引っ越しまでの具体的に必要な準備についてみていきましょう。
●お気に入りのものや慣れた家具を処分しない
猫が転居先に早く慣れることができるように、猫が使っていたお気に入りのおもちゃや家具は、できるだけ新調せずに持っていきましょう。慣れたにおいのものがあるだけで猫は安心することができます。引っ越しのタイミングで買い変えたいと思うかもしれませんが、使い慣れた家具やカーペットなどは、新居に慣れるまでは置いておきましょう。
●キャリーバッグ/ケース
猫の引っ越しにはキャリーバッグやケースは必須アイテムとなります。実際に移動するときもキャリーバッグに入れて移動することが多くなりますし、引っ越し当日、家の中が騒がしくなる際にキャリーバッグに猫を入れておくことで、猫は狭い場所で安心して過ごすことができます。
引っ越しの当日になって急にキャリーバッグに入れて驚かないように、事前に少しずつ慣れさせてあげるようにしましょう。
●トイレ/トイレ砂
猫が引っ越す前の家で使っていたトイレやトイレの砂を保管しておくことはとても重要です。引っ越し先で自分のにおいがすることは、猫にとって不安解消になります。
●事前の健康診断
引っ越しは猫に大きな精神的負担を強いることになります。特に高齢の猫の場合は、引っ越し前にかかりつけの動物病院で健康診断を受けておくと安心です。また、引っ越し先での動物病院を紹介してもらうのもおすすめ。引っ越し後は猫が体調を崩しやすくなるので、あわてないように事前に近くの動物病院を調べておいた方がよいでしょう。
●猫の引っ越し荷物チェックリスト
引っ越し中に猫が急に体調を崩すこともあるため、事前に必要なものはまとめておきましょう。次のようなものは、事前にまとめておくと便利です。
○健康記録(ワクチン証明書など)
○食事、食器類
○トイレとトイレ砂
○写真(万が一猫が逃げた時のため)
○お気に入りのおもちゃ
○首輪
○キャリーバッグ
引っ越し当日の対応
引っ越し当日は、飼い主も忙しくバタバタしてしまい、猫にかまっていられなくなってしまうかもしれません。
しかし猫にとっても大変ストレスフルな日となりますので事前準備でしっかりケアしてあげることが必要です。
自宅での対処法
●できるだけ環境を変えない
引っ越しの準備段階で、荷造りをすることで部屋の中の環境は大きく変わっています。それだけでも猫にとってはストレスになってしまいます。
引っ越し中、なるべく猫の環境が変わらないように、荷造りをした段ボールを置く部屋と猫が過ごす部屋を分けてあげるとよいでしょう。
●引っ越し最中の猫の脱走
引っ越し当日は、引っ越し業者が入って荷物を運び出したり、普段とは違うバタバタした雰囲気になります。念のため、猫がいることと、猫の居場所を引っ越し業者にも伝えておいた方が安心です。
そしてこれは引っ越し前も、引っ越し先でも言えることですが、物音や他の人の出入りにビックリして脱走してしまう猫もいます。
特に引っ越し先で猫が逃げてしまうと、慣れない場所で飼い主も猫も大変な思いをすることになります。
こうした事故を防ぐためにも、できるだけ荷物の出し入れをしている間は猫をケージに入れておく方がよいでしょう。ケージの中にトイレシートをしいておいてあげると安心です。
また、万が一に備えて事前に首輪と迷子札を用意しておくのもよいでしょう。首輪は2週間ほど前から装着して慣れさせた方がよいので、事前に準備しておきましょう。
首輪よりも猫の体に負担がかからない猫用のハーネスもおすすめです。動物病院への通院や、災害時の避難などの際にも使えるので、用意しておいてもよいですね。
お風呂場やトイレに猫が普段使っている毛布やトイレなどを置いておき、一時的に隔離しておくのもよい方法です。この場合も、脱走を防ぐため、窓は閉めておきましょう。また、お風呂の扉を開けられないように張り紙をしておいた方が良いですね。
ペットホテルや動物病院に預けるのもあり
引っ越し作業中は忙しく、猫にかまっていられなくなるため、一時的にペットホテルや動物病院にあずかってもらうという方法もあります。
かかりつけの動物病院であれば、引っ越し前に健康診断をしてもらうこともできます。
猫の安全を確保するために、あらかじめ当日どういう動きをするか決めておいた方がよいでしょう。
猫の移動について
飼い主が一緒に車で移動するのがベスト
猫にとってもっともストレスが少ない移動は、飼い主と一緒に車で移動する方法です。車での移動では基本的に猫はキャリーバッグなどのケージに入って移動します。
・キャリーバッグはシートベルトで固定し、車の振動で動かないようにします。
・キャリーバッグに入れずに車に乗せると、ドアを開けた際に脱走したり、ブレーキやアクセルペダルの下に潜り込んで運転の妨げになることもあり危険です。車内ではかならずキャリーバッグに入れるようにしましょう。
・長距離になる場合は、途中で車をとめてケージの外に出し、水をあげたり、排泄の時間を取るようにします。
・猫が安心するフェロモン合成液を事前に動物病院からもらっておき、キャリーバッグにスプレーしておくのもおすすめです。
・出発する直前には食べ物を与えないようにします。
新幹線・電車・飛行機での移動の場合
長距離の場合は、飛行機や新幹線での移動をすることもあります。その場合は、キャリーバッグの大きさなどが決められているため、事前にチェックしておきましょう。
新幹線での移動
① 猫に関わらずペットを新幹線に乗せるには「普通手回り品きっぷ(290円)」が必要になるので、駅の窓口で購入します。
② 新幹線に持ちこめるキャリーケースの大きさが決められています。長さ70センチ以内、タテ・ヨコ・高さの合計が90センチ程度、重さは10kg以内です。
・猫のための座席を購入して隣の席にケースを置くことはできません。キャリーケースは足元に置くか、膝の上に置きましょう。
・最前列の座席は足元のスペースが広くなっているので、車両の最前列の席を予約するのもポイントです。
・窓際の席の方が人の出入りがないため、できれば窓際の座席を予約した方がよいでしょう。
・駅のホームなどで大きな騒音が聞こえると猫がストレスを感じることがあるため、キャリーケースに布などをかけて猫が落ち着けるようにしてあげましょう。
電車での移動
キャリーケース持ちこみのルールは新幹線とほぼ同じですが、各鉄道会社によっても違うので事前に確認しておきましょう。
・JRの場合
新幹線と同じく普通手回り品きっぷ(290円)が必要です。
・キャリーケースを膝の上に抱えるか、足元に置いて足で固定し、なるべく電車の揺れが伝わらないようにしましょう。
飛行機での移動
飛行機での移動は猫の体に大きな負担がかかるため、できるだけ避けるようにしましょう。
しかし遠距離の場合など、どうしても飛行機での移動が必要になる場合は、事前に獣医師に相談し、健康状態をチェックしてもらうようにします。
・飛行機に乗せない方がよい猫の種類
ヒマラヤン・バーミーズ・ペルシャなどの短頭種の猫にとって、飛行機に乗ることは大きな危険が伴います。
これらの猫種は気圧の変化に弱く、呼吸困難などを引き起こし体調を崩すことがあるため、飛行機での移動は避けた方がよいでしょう。
・キャリーケースで手荷物に預ける
猫は機内に持ち込みすることはできません。キャリーケースに入れて手荷物として預けることになります。
キャリーケースについても規定されており、布製のキャリーバッグは使用できません。堅いプラスチックや金属など素材で強度があり、通気性のあるタイプのバッグを使用しましょう。
料金などは各航空会社によっても違います。
・ANA
出発時刻30分前までの受付と同意書の記入が必要。
料金:1区間あたり6000円
・JAL
出発時刻30分前までの受付と同意書の記入が必要。
料金:路線によって3000~6000円
・スカイマーク
出発60分前までの受付と同意書の記入が必要
料金:1区間あたり5000円
猫専門の引っ越し会社もあり
飼い主と一緒に移動できれば一番安心ですが、どうしてもそれができない場合、ペット専門の引っ越し輸送会社に依頼する方法もあります。
ほとんどの大手引っ越し会社にはオプションとしてペットの輸送を引き受けており、その場合、引っ越し会社からペットの輸送専門会社に依頼することになります。
中にはペットの中でも猫専門の引っ越しシステムもありますよ。
・ペット便 猫のファーストクラス
URL https://petbin.jp/neko.html?gclid=EAIaIQobChMIneiOquff6AIVS3RgCh2oDwgjEAMYASAAEgLD_fD_BwE
猫のファーストクラスは、ペットの中でも猫に特化した引っ越し会社です。
長距離の場合でも陸送で安全に移動することができます。また、移動中にも温度の管理や食事、水、トイレなどのお世話をしてもらえる上、移動中の様子をメールでお知らせしてもらえるので飼い主にとっても安心ですね。
事前に猫がケージや車両に慣れるための期間を設けているので、利用する場合は早めに連絡しましょう。
引っ越し後の注意点
無事に新居まで移動したら、新しい環境での生活が始まります。猫は新しい環境になじむのに時間がかかってしまうことも多々あります。
それでは引っ越し後の注意点についてみていきましょう。
環境になじみやすくするためのポイント
●はじめは狭いところへ
引っ越し先で注意しなければならないのは、いきなり広いスペースに放してしまうとびっくりして逃走してしまうことです。新しい場所で猫が行方不明になると大変なことになります。逃走を避けるためにも、はじめはケージの中に入れておくこともよい方法です。徐々に慣れてきたら、まずは一つの部屋に入れておくなど、少しずつ範囲を広げて慣れさせてあげましょう。
●ゆっくりと新居に慣れさせる
引っ越しをした後、猫が物陰に隠れてしまい、なかなか出てこないことがよくあります。その場合も、隠れている場所から無理やり出さず、自由にさせてあげることが大切です。
猫は警戒心が強いため、新しい場所では不安になっています。猫を自由にさせて新居がどんな場所なのかを探る時間を十分に取ってあげましょう。
●猫が安心できるスペースを作る
新居の中でも猫が安心して過ごせる場所を早めに作ってあげることも大切です。たとえば前の家の環境と似た場所に猫のスペースを作るのもよいでしょう。
以前使っていたトイレや猫のベッド、キャットタワーやおもちゃなど、猫のにおいのついているものをそのまま使用しましょう。
●スキンシップをとったり、運動をさせる
猫は新しい環境で不安になっているので、できるだけスキンシップをとったり、今まで使っていたおもちゃなどを使って遊んであげると、早くなじむことができます。
引っ越し後にたくさんの人が出入りしている場合も、猫は不安を感じるので、飼い主が頻繁に声をかけることで安心させることができます。
猫のストレスサイン
引っ越しや新しい環境になじめず、猫がストレスを感じていると次のようなストレスサインを出すことがあります。
●活動が少なくなる
歩いたりジャンプしたりする動きが少なくなります。人との交流を避けたり、おしっこの回数が減ったりする場合もあります。
●問題行動
しつこく鳴いたり、トイレの外でウンチやおしこをしたりするなど、これまでにない行動を取ることがあります。これもストレスサインの一つです。
●セルフメンテナンスをしなくなる
グルーミングや水を飲むなど、メンテナンス行動が少なくなります。食欲は逆に増えることもあります。
●攻撃的な行動
うなる、噛みつく、引っ掻くなどの行動が増えます。
これらは、猫がストレスを感じている時の初期的なサインと言われています。こういった行動が見られた場合は、放置しておくと人間と同じようにストレスから病気になったりすることもありますので、注意する必要があります。
ストレスからくる猫の病気
最初のストレスサインに気付かず、放置しておくと次第にさまざまな症状が出てくることがあります。
●猫ウイルス性鼻気管炎
このウイルスに一度でも感染したことがある猫は、そのままウイルスを保有していることがよくあります。そしてこのウイルスが再発する引き金になる原因のひとつがストレスと言われています。
再発した時には鼻や気管などに症状が出るのが特徴です。
●下痢・嘔吐
ストレスがかかると、食べ物を消化されないまま、吐き出すようになったり、また食べ物の水分が十分に吸収することができず、下痢をする場合があります。
ただし、猫は毛玉がたまっていたり、猫草を食べた時も嘔吐することがあるため、吐き出したもののなかに大量の毛が混じっているような場合は、心配しなくてもよいでしょう。
●食欲不振や食欲過多
環境の変化によるストレスで、食欲不振になってしまう猫もいます。食欲不振から別の病気を発症することもあるので、注意が必要です。逆にストレスから食欲過多を招いて、肥満につながってしまうこともあります。
●脱毛
体の一部をグルーミングし続けることによって脱毛を起こすこともあります。特に猫の口が届きやすい太ももの外側やしっぽ、腰背部などに多く見られます。これもストレスがたまって起こりやすい症状の一つです。
これらの症状が見られたらすぐに動物病院に連れて行ってあげるようにしましょう。
引っ越し後の手続き
●自治体への届け出は必要?
猫は犬と違って、基本的に引っ越し先の市町村での登録手続きの必要はありません。ただし、市区町村によっては、猫の登録制度がある場合があります。
・茨城県、千葉県、滋賀県、長野県、佐賀県、京都府
猫を多頭飼いする場合、飼い主の届け出が必要となっています。内容は、猫の性別・否認去勢手術についての情報などです。
・奄美大島
天然記念物アマミノクロウサギなどの野生動物保護のため、飼い猫の登録、マイクロチッップの装着、避妊去勢手術が義務付けられています。
・沖縄県国頭村、東村、大宜見村
飼い猫の登録やマイクロチップの装着が義務化されています。
●マイクロチップの住所変更
猫にマイクロチップを埋め込んでいる場合は、住所変更の手続きが必要です。
マイクロチップ登録申請システムURL:https://www.aipo.jp/apply/
マイクロチップを装着していると、万が一猫が迷子になって保護された場合、自治体などでリーダーを読み取るとすぐに飼い主に連絡をとることができるので便利です。
マイクロチップは短時間で埋め込み可能で、猫の体への負担はほとんどないため、引っ越しのタイミングで検討してみてもいいかもしれませんね。
まとめ
猫は大変繊細な生き物で、特に環境の変化には敏感です。
引っ越しは猫にとって大変なストレスを伴うイベントですので、しっかりと準備をしてその猫にとってもっとも最適な方法での移動、引っ越し先での対策を講じてあげることが必要になります。
特に子猫や高齢の猫にとっては負担が大きくなるので、上記で説明した事を注意してあげると飼い主も猫も安心ですね。
もし転居先で急に留守にしなければならなくなったときに、ペットシッターサービスを利用できると安心ですね!
横浜のSNOWペットシッターサービスは、横浜市、川崎市でペットシッターのサービスを展開しています。
横浜エリアへ引っ越しされる場合は、こちらもチェックしてみてくださいね。