現代人は、仕事やプライベートによるさまざまなストレスを抱えています。中には、心身の疲労の蓄積や体調不良に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
最近、心の癒しを求め、ペットを飼い始める方も増えています。ペットとの暮らしは、飼い主にもペットにも健康効果、癒し効果があるとされています。
そこで今回は、「ペットがもたらす癒し」をテーマに、ペットに癒される理由からセラピー効果、ペットとの健康的な暮らしまで、詳しく解説していきます。
忙しくて、時間にも心にも余裕がないという方ほど、ぜひペットと積極的に触れ合う機会を作り、その効果を体感してみてください。
Contents
なぜペットに癒されるのか
ペットの愛らしい見た目や振る舞いには、心を和まされますね。
時折じっと見つめる瞳や仕草には、飼い主への“信頼”やゆるぎない“忠誠心”を感じさせます。
飼い主が出かけるときには寂しがり、帰宅すれば飛び回って尻尾を振って大喜びするなど、ペットは全身で感情を表現します。そんなペットに対し、飼い主は「心から愛されている」と感じることでしょう。
見返りを求めない無償の愛を与え、ありのままを受け入れてくれる存在であるペットは、飼い主に安心感を抱かせます。そんなペットとの触れ合いによる癒しの効果は、科学的にも証明されています。
触れ合うことでオキシトシンが分泌
麻布大学の研究チームによる『飼い主とイヌが触れ合うことでお互いにオキシトシンが分泌される』という論文が、アメリカ『サイエンス』誌にも取り上げられ、世界でも話題になりました。
「オキシトシン」は、人間の赤ちゃんを抱っこしたときに出るホルモンです。
「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも言われており、動物と触れ合ったときにも大量に分泌されています。これが、ペットの癒し効果に大きく関係しているのです。
ふわふわしたペットに触れていると、温もりを感じ、心身ともに安心したりしますね。
触れ合ううちに、なんとなく疲れが減ったと感じることもあるでしょう。
「オキシトシン」には、自律神経を整え、脳の疲労を軽減し、気分を安定させる効果があるのです。ペットと触れ合い、心が愛と安らぎで満たされると、幸せを感じるようになります。
これが、触れ合うことで感じる癒し効果の理由です。
心を癒す「アニマルセラピー」
「アニマルセラピー」は、人へもたらすさまざまな効果が期待されており、ご存じの方も多いと思います。
この効果が実証されてきており、医療現場や教育現場でも採用されています。
「アニマルセラピー」とはいったいどんなものなのか、実際に得られる効果について、詳しくみていきましょう。
アニマルセラピーとは
アニマルセラピーとは、動物との触れ合いを通して行うセラピーの手法です。
アニマルセラピーには、「社会性の改善」「ストレスの軽減」「コミュニケーションの促進」などQOL(生活の質)の向上が見込まれています。
※QOLとは、“より良く”という価値観に基づき、“毎日が充実し、心身が満たされた生活”に焦点をあてた考え方です。
実際のセラピーでは、動物たちは人に対して、決して牙を剥くことなく、抱っこされたり、なでられたりと、おとなしくその場に収まっています。
ありのままを受け止めてくれる動物たちだからこそ、閉ざした人の心を開き、癒すことができるのでしょう。
アニマルセラピーは、心身の状況改善へのきっかけとなります。
・後天的障害の人へのセラピーでは、病気のことを考え過ぎなくなり、前向きに元気になれた。
・障害グループホームでは、会話を楽しむきっかけになり、心がほぐれ、笑顔が増えた。
・認知症などの高齢者施設で、無気力だった方が、動物に手を伸ばすなど興味や意欲を引き出した。
老人施設やホスピス以外にも、医療少年院や小学生向けにいのちの大切さを教える授業を行うアニマルセラピーの団体もあります。
アニマルセラピーが果たす役割は、とても奥深いものがあります。
アニマルセラピーで得られるもの
生理的効果
・感覚刺激や反応の改善
・血圧・コレステロール値の低下・病気の回復
・神経や筋肉組織のリハビリ
心理的効果
・リラックス、不安の軽減
・自信と意欲の回復
・感情表現の回復
・自尊心・責任感などの肯定的感情
・子供の情操教育(達成感・幸福感)
社会的効果
・協調性が出る
・身体的・経済的自立の促進
・言語活性化
慢性のストレスの改善やPTSDの患者の不安を和らげたり、うつ病など重い精神疾患を持つ患者の衛生意識や自己管理が改善したという報告もあります。
アニマルセラピーは、心の健康を改善する鍵となるでしょう。
ペットとの暮らしで健康的に
日々の暮らしの中で、ペットはさまざまなサポートをしてくれています。
ペットと一緒に暮らすことで、健康的で充実した生活が送れるようになるでしょう。
そしてペットは、暮らしにたくさんの良い循環を与えてくれます。
自然に運動量が増える
ペットがいる生活は、散歩やえさやり、世話など、日常の行動が増えます。
特に犬の散歩は、飼い主の心身の健康に効果的です。
散歩は、「歩くこと」「景色を眺めること」「愛犬の嬉しそうな様子を見ること」でマインドフルネスの状態になれます。
すなわち、“今この瞬間を大切に生きる”状態のことです。
余計なことに考えを巡らせず、愛犬との散歩を純粋に楽しみましょう。
この習慣が、飼い主にも愛犬にも、とても良い時間となるのです。
毎日の散歩が億劫に感じてしまうこともあるかもしれません。
雨の日や風の日もあるでしょう。
それでも、散歩を待つ愛犬のためにも、自身の健康のためにも続けたいものです。
ゆとりある豊かさを実現
ペットがいる生活は、散歩や世話などで、朝の始動が早くなることが多いです。
夜型の生活だったとしても、朝型の生活にシフトするようになるでしょう。
すると、早寝早起きのスタイルが身に付き、生活サイクルが安定してきます。
生活習慣の改善に繋がることで、健康的な生活を送れます。
また、ペットを通じた新たな出会いもあるでしょう。
遊ばせる場所や散歩、SNS上で犬好き同士と知り合うなど、さまざまな場があります。
ITの普及により、さらにリアルでの人との関係、コミュニケーションが希薄になっている現代において、ペットは人と人との関りを繋げてくれる役目も担ってくれます。
さらに、ペットは子供との相性が良く、ときに親代わりとなり、子供の相手もしてくれます。
子供に安心感や元気を与えてくれ、成長を助けてくれるでしょう。
また、ペットの世話をすることで、子供に責任感や自尊心も生まれてきます。
ペットの存在は、人間の心や生活に、たくさんの恩恵を与えてくれます。
ペットにとって、飼い主の存在は何よりも大きいものです。
もちろん飼い主にとっても、ペットはかえがえのない存在となるでしょう。
まとめ
ペットは、飼い主のありのままを受け入れてくれる存在であり、人の心を愛と安らぎで満たしてくれます。その癒し効果は絶大です。
ストレスが溜まりやすい現代人にとって、ペットは砂漠のオアシスのような存在となるでしょう。
住宅事情が許さない、動物アレルギーがあるなど、諸事情で犬猫を飼うことができない方もいるでしょう。
そんな場合は、熱帯魚や鳥、ウサギ、ハムスターなどの小動物をおススメします。
えさを与えたり、世話をすることで次第に愛着がわいてきます。
必ずしも飼うことが大切なのではなく、動物と触れ合うことが大切だとされています。
忙しい毎日を送る飼い主も、ペットにしっかりと向き合う時間を作って、ペットの気持ちにも応えてあげましょう。
そして、ぜひ深い信頼関係、絆を大切にしていってください。